引越の準備をしなければならない。私は、もうすぐ家族と共に東京に引っ越す。主人が義父と共に経営していた、観光みやげ店が倒産してしまったからだ。新しい仕事を生まれ育った九州の小さな町では見つけることができず、ある人の紹介で東京に職を見つけたのだ。私は、主人とは違う仕事をしていて、実家の仕事を手伝っていたが、主人がこういう事になってしまったので、両親には悪いと思ったが、私の代わりになる人を雇ってもらい、1ヵ月後に引っ越すことになった。
引越の準備をそろそろ始めなきゃ。私にはもうすぐ5歳になる子を先頭に2歳、1歳と3人の子供たちがいる。3人姉妹だ。一番上の子は、今年の4月から近くの幼稚園に通っている、たったの1学期過ごしただけで、また新しい幼稚園に移るのも可哀想な気もするけれど、またすぐに新しいお友達ができるよ。そう子供に言い聞かせて、自分の気持ちも同時に落ち着かせていた。
引越の準備をいざ始めると、生まれ育った町を離れたくない気落ちでいっぱいになってしまう。親元から離れたことがない私は、頼ることができる親が側にいないと、ちゃんとやっていけるのか不安でいっぱいだ。しかもまだ子供は小さい。オムツをしている子が2人もいるのに。引越の準備にとりかかろうとすると、そんな気持ちが湧き上がってきて、なかなか先に進まない。
引越の準備を始めなきゃ。子供が大人しい隙に、まずは、シーズンオフの物や、使っていない物から詰め込むことにするか。私はそう思って、ダンボールを組み立て始める。とたんに3人の子供たちがダンボールに入り込み始める。「もう、だめだってば。ママは引越の準備をしなきゃ、いけないのよ」そう言っても、3人は居心地良さそうにすっぽりとダンボールの中に入り込んでいる。大人しいからいいか。私はまた別のダンボールを組み立てる。
引越の準備を始めようとすると、こんな風に子供たちが邪魔をする。両親に預けてしまえば早い話なのだが、これから先、両親と離れて暮らさなければならないという気持ちが、両親に甘えることを許してくれない。しっかりしなきゃ。親も心配する。自分で決めたことだから、頑張らないと。一人娘である私がもうすぐ遠い東京に行ってしまうということで、両親も辛いのだ。心配はさせたくない。私は引越の準備を一人で頑張ろうと決心していた。